[長編]勇者の代わりにバラモス倒しに行くことになった 完結!!
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目が覚めるとそこはラダトームの宿屋だった
情けない事に帰れない事がショックだったのか失神してしまったらしい
辺りを見回すが部屋には誰もいない
看病して欲しかった訳じゃないけど
なんか釈然としないな
看病して欲しかったのかな?
ようわからん
この世界で勇者としてちやほやされ生活するのも悪くはないかもしれない
それも長くは続かないだろうが
まっとうな生活を送る事は出来るはずだ
アリアハンで遣り残してきた事を思うが
今となっては仕方がない
「目が覚めたのか」と聞かれ簡素に返事を返す
城のほうが騒がしいが何かあったのか?
それに盗賊や賢者も出席しているらしい
薄情な気もするが仕方がないかな?
ちなみにこのパーティの費用を捻出する過程で
大臣の使途不明な国費の使い込みが判明しひと波乱を巻き起こすのだが
それはまた別の物語である
どうやら、ゾーマに世界を滅ぼされるのならいっそ、と思い使い込んだらしい
手にはパーティの料理だろうか
持ち帰りように包まれた食べ物を持っている
そしてその賢者から10メートル離れて歩く盗賊
どうやら武道家と賢者の確執は終わったものの
賢者と盗賊の確執はまだ続いているようだ
ずいぶんとご挨拶な賢者だ
オマエこそパーティで料理を食べて更に持ち帰って宿で食べるつもりか?
よく食うな、何処に収まるんだ?そんないっぱい
「だまりなさい!アンタにはあげないわよっ」
いりませんよ
ん?なんだ盗賊か、いたの?
「えぇ」
冗談だよ、どうかしたか?
「あの、僕達って大魔王を倒したじゃないですか」
ああその通りだ
「それで王様に恩赦としてひとつ聞き入れてもらいたい願いがあるんですよ」
ふーん、好きにすれば良いじゃないか
お前が何を頼もうと俺には関係ないだろ?
オマエの恩師は罪人なのか・・・
うーん、世界を救った一行に罪人が関わってるってのはなぁ
「いえ、やっぱりいいです
変なこと言ってすいませんでした」
盗賊は頭を下げ宿のほうに戻っていった
いろんな人間に挨拶され
町の人たちにサインを求められ労われ賞賛される
疲れたので人気の無い所で休む
そうして歩いてきた場所は牢獄
ここには盗賊の恩師がいるはずだ
あまり関わりたくはないな
牢獄の部屋の前で休む
流石にパーティーを開いてるときに牢屋に用のある人間はいない
兵士二人に連行されたおじいちゃんが連れられてきた
どうやら、このお爺ちゃんはMPを無料で回復する事で
宿屋と教会の営業妨害の幇助をしてきた罪で捕まるらしい
幇助云々で逮捕とはどこの京都県警だよ
恩赦がどうとは言われてはいないが
コレくらい許されるだろう
そのおじいさんを開放してやってくれないか?
これがオレの恩赦だ
もったいなかった気もするが
コレで良かったんだと思う
疲れたので誰にも声を掛けずベッドに転がり込む
眠気が一気に吹き飛ぶような事に思い浮かんだ
布団からガバッと身を起こす
思い当たった事をもう一度醒めた頭で考え直す
成功する保障はないがやってみる価値はある
アリアハンに帰れるかもしれない
俺の考えたアイディアはこうだ
パーティが全滅すれば最後にセーブをしたところから
再出発になるはず、ソレを利用する
俺がここから飛び降り死ぬ事でアリアハンに戻れるはず
けど、コレを行うとこっちにはもう戻ってこれないかもしれない
もう一歩踏み出せば後は海に向かって真っ逆さまだ
コレだけの高さがあれば海に激突する前に意識が落ち
目が覚めればアリアハンの玉座の前に違いない
この世界に未練がないわけじゃない
むしろ一杯ある
死ぬ事が怖いわけじゃない
今も涙を堪えている
盗賊はゾーマ相手にこの覚悟を乗り越えたのか
盗賊の凄さを今始めて実感した
後ろから急に呼び止められた
固めていた覚悟が解け飛び降りるタイミングを失い
仕方なく後ろを見る
そこには盗賊、武道家、賢者がいた
「そこから飛び降りてどうするつもりなんだ?」
武道家が追求してくる
聞くと言うより追求といったその口調は
俺が考えていることを見通してるかのようだ
そしてソレは盗賊と賢者も見通しているようだった
ああ、その通りだ
俺の口から自分でも驚くほど冷たい声が出る
武道家も一緒に帰るか?と聞いてみたが
「オレはこっちに残る、と言うよりさっきのパーティーでセーブしてきた
この世界に骨を埋める、それが俺の決めた未来だ」
なんかカッコイイこと言ってるな
『未来』と来ましたか
ありがたい提案だが、上の世界でやらなければ行けない事が残ってるんだ
その後の人生は酷く惨めになるかもしれないが
それでもコレだけはやらないと行けないことなんだ
「どうしてもか?」
ああ、どうしてもだ
「そうか」
武道家はそう言い構えを取った
最後にオレと勝負をしてくれ
それがオレに対しての武道家の最後の申し入れのようだ
構える事で返事をした
剣は手にしてない、命のやり取りがしたいわけじゃない
ただ、最後まで互角だった相手と決着をつけたいだけだ
武道家が間合いをつめ腕を振りかぶる
武道家『デラ!!』
武道家『べっぴん!!』
武道家の必殺パンチ『デラべっぴん!』を
オレの『デラべっぴん返し!!』でカウンターし武道家は地に崩れた
武道家は意識はあるようだが立ち上がってこない
泣いているのかもしれない
今の気持ちなら迷い無く飛べるだろう
しかし体が動かない
足元を見るとキラービーの尻尾のようなものが刺さっている
体が麻痺しているらしい
コレを投げたのは賢者か
どこまで反則武器を持っていやがるんだコイツは
さぁ、そのような事は記憶にございません
賢者がボディブローを入れてくる
良いパンチしてるじゃねーか
けど、マジメにオレは上の国で遣り残した事がある
コレだけは譲れない
借りならいくらでも返す
それにココで止めても
オレはすぐに逃げ出してアリアハンに戻る
ついに観念したかのように顔を背けた
「そこまで言うのなら分かったわ!
なら借りを返すと言う意味で約束しなさい
必ず帰ってくることよ、この世界にね・・・」
確約は出来ないがうなずいておく事にする
賢者もソレを分かっているのだろう
世界で一番やさしい嘘だ
皆との別れが近づいていた
最後に盗賊に声を掛ける
今まで散々ぞんざいに扱ってきたが
今なら素直に認めることが出来る
盗賊こそがパーティの鍵だったのだ
盗賊は何を言うべきか判らないようで言葉に詰まっている
やはり肝心なところでドジなのが盗賊だ
仕方ないので俺から声を掛ける
さっきのオマエの恩師の件、好きにすると良いぜ
少なくとも俺は反対しない
反対するような事を言ってしまってすまなかったな
恩師のためにそこまで尽くせるお前は立派だよ
「勇者さんっ!」
目に涙を浮かばせ半べその盗賊
おれも釣られて泣きそうじゃねえか
泣いているのか?
「泣いてねえよ、さっさと行っちまえってんだこの野郎」
強がってはいるがその声は泣き声だ
痛みや悔しさで泣くような男じゃない
こいつも別れを惜しんでいるのだ
さっさと海に飛び込みたい
海の塩辛さは涙の塩辛さを誤魔化してくれるだろう
しかし体は麻痺していて動けない
決めるだけ決めておいて今更のこの醜態はこっぱずかしい
賢者さんキアリク掛けてくれませんか?
なんて言えない
笑っちゃったら飛び込めないじゃないか
キアリクを掛けてくれるのだろうか?
「やっぱりさっきの約束はなし!
借りとかそんなんで帰ってこられても良い気分はしないしね」
賢者はそう言い俺の胸に手を当ててきた
賢者はオレを含め盗賊、武道家に謝った
盗賊が驚いたような顔で賢者を見ている
武道家も倒れたままだが驚いてるような気配になっている
「借りとかじゃなくて自分の意志で帰ってきて頂戴」
賢者はオレの顔を睨むようにして言った
「それと貴方からの私への借りはコレで帳消しにしてあげる」
そう言うと賢者はオレの唇に唇を重ね
腕を押しオレを海へと突き落とした
俺の意識はそこで途絶えている
空の玉座はむなしく今は大臣が王の代わりに仕事をしているようだ
大臣の形式的な説教を聞き流し
懐かしさを覚えながら城の一階を歩く
ここでは魔法の玉と言う名前の爆弾を作っているおじいさんがいる
ベタベタな偽装ネームだ
原宿とかのクラブで売ってる気分がハイになれる『魔法の粉』と大した違いが無い
別に俺のやりたいことにこんなものは必要ないのだが
悔いは残したくない
どうせならついでだと言うものだ
「おめでとう勇者君!大魔王を倒したそうじゃないか」
このオヤジもルイー○のようにヒマすぎて出番を増やしに来たのだろうか
前も言ったがオレはこの手のタイプが非常に嫌いである
うっとうしい
オヤジは狂ったかのように喜んで井戸に帰っていった
オレは井戸まで付いて行き
おやじが中に降りて言ったことを確認すると
魔法の玉を放り込んだ
井戸にはもう用は無い
後ろから派手な爆音が聞こえてくる
井戸の周りにいたおばさんが目を見開いて驚いているが
そんな事はもう気にしない
店員は相変わらずオレをみると
「また薬草ッスかwwwwwwwww」と言った顔をしている
オレは袋から99個の薬草を取り出しこう言った
「薬草全部買い取ってくれ」
「正気ですか?」
失礼な奴だ
俺にはもう必要ないんだ
良いから買い取ってくれ
そうすると店員はようやく薬草の数を数え始めた
店員はそう言ったのを聞き
オレは新たに自分の持ち物から薬草を4個取り出し
コレも追加だと言った
「そうですか、コレも必要ないんですね・・・」
ああ、もう薬草は必要ないんだ
そう、オレの旅の基盤は薬草だった
そしてその薬草との出会いの全ての始まりはこのアリアハンの道具屋からだったのだ
オレは激しい苛立ちと劣等感を感じてきていた
だがこうして旅の全てを終えた今
それがむなしい考えだった事に気づく
オレが大魔王を倒した後にやら無くてはいけない事
それは王様に報告する事でも
喜びに打ち震える事でもなく
この道具屋に自分が成長した事を伝える事だったんだ
その金をアリアハン城の周囲の池に投げ捨てる
道具屋をみるとそこには店員が親指を立てポーズを決めている
俺もそれに習い親指を立てて返す
そして同じタイミングで手首を下に返す
会う場所がもし酒場だったなら
唯一無二の仲間になれたかもしれない
この先どうするのか考えてはいない
賢者が最後に残した言葉が頭をよぎる
ラダトームか・・・帰りたいな
やるべき事を一つ見つけた気がする
なんとしてでもアレフガルドに帰ろう!!
その姿をアレフガルドとは違う太陽が照らしていた
-第3部 薬草編 了-
おまwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
乙!!!!!!!!!!!!!
2006.09.08 | Comments(5) | Trackback(0) | 勇者の代わりにバラモス倒しに行くことになった


